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- 「研究者のための Word 利用法」
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研究者のための Word 利用法
パーソナルコンピュータとのつきあいは、20年近くになりますが、体系的に勉強したことはないので、知識は大変かたよっているだろうと思います。ただ、せっかく、(文房具としては非常に高価な)コンピュータを使うのだから、少しでも効率的に使って、ありがたみを増やしたいと思い、いろいろ工夫してきた面があるので、その中で、他の人にも有用かもしれないと思われることを紹介していきたいと思います。
(2009.2.26. 追記↓)
「新年早々」と言っていましたが、結局、3月になりました。本についての情報、および、サポートページは、こちらです。
(2008.12.07. 追記↓)
紆余曲折ありましたが、ついに出版の運びとなりました。そろそろ印刷作業が始まり、新年早々には書店に並ぶ予定です。長い間、応援してくださった皆様、どうもありがとうございました。PC やソフトは年々状況が変わっていっていますので、書かれている内容が時代に追いついていない箇所がある可能性が多々あります。それらの点については、私の能力のおよぶ範囲で、この webpage でサポートしていく所存です。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
(2005.3.29. 追記↓)
ここで、この内容を公開してから何年か経ちますが、当初の予想よりも多くの方々から反響をいただき、喜んでいます。まだ構想段階ですが、ここの内容を再構成して少し加筆したものを近々出版することにするかもしれません。この説明でわかりにくい部分があることは、ある程度、把握しているつもりですが、まだまだ盲点があると思いますので、コメントがあるかたは、どうぞよろしくお願いいたします。
質問/コメント/意見/感想のある方はこちらのフォームからどうぞ。個別にはお返事できないかもしれませんが、なるべく、改訂版に反映させたいと思っています。
- 連載第1回
- 0. 序:重要視していること
- 1. 「再利用」のときの手間をなるべく少なくするために
- 1.1. 鉄則1「スペースを使ってレイアウトしないこと」
- 連載第2回(2002/7/10 に加筆)+質疑応答
- 1.2. 鉄則2「行ごとに直接、書式を指定してしまわないこと」
- 1.3. 鉄則3「オートフォーマットは使わないこと」
- 1.4. 鉄則4「すべての編集記号を表示させること」
- 連載第3回
- 1.5. 例文番号
- 連載第4回
- 1.6. テンプレート
- 連載第5回
- 2. 文書作成の効率化のために
- 2.1. 目次とアウトラインモード
- 連載第6回
- 2.2. revision mode(変更履歴)
- 3. 文書を電子的にやりとりする場合のために
- 連載第7回
- 4. 補遺
- 4.1. 樹形図を描く方法について
- 4.2. 「Symbol」フォントについて
- 4.3. 本/論文の整理方法について
研究者のための Word 利用法 |
第7回 |
(以下の内容は、「補遺」という名称が示すとおり、付け足しの雑談のようなものですので、話し言葉で書きます。)
4. 補遺
4.1. 樹形図を描く方法について
生成文法では、往々にして、樹形図を描かなければならないことがありますが、上手に図を書くのは難しいものですよね。「樹形図のうまい書き方を教えてください」と言われることがありますが、私もまだ試行錯誤中で、これといった決定打は見つけていません。一応、いくつか知っている方法をご紹介しておきます。
特に欧米の人の間でよく使われている印象があるのは、Arboreal もしくは ArborWin と呼ばれるフォントを用いるものです。1,2,3...等の数字(アルファベットも?)1つ1つに様々な角度や長さの branch が割り当てられているので、その文字をキーボードから入力してフォントを変更するだけで、tree が表示できます。画面では図として表示されているものの、実は文字フォントなので、扱いは比較的簡単だと思います。欠点があるとすれば、これを用いたファイルを他人に電子的に送った場合、相手がこのフォントを組み込んでいなければ、tree のところに不可思議な数字だけが表示されているものになってしまうことでしょうか。もちろん、テキストファイルに変換した場合も同じようになってしまいます。ただ、相手もこのフォントを持っていることが確実な場合には一番スムーズな方法かもしれません。私自身はユーザーでないので、これ以上のことはわかりません。興味のある方は、http://www.cascadilla.com/arboreal.html を参考にしてください。
全角フォントを使うことが許される状況の場合には、スラッシュ「/」とバックスラッシュ「\」を使って tree を書くのも簡便な方法です。「/」や「\」がキーボードから直接入力できない設定になっている場合でも、適当な「読み」で辞書登録してしまえば便利です。この方法は、もちろん英語圏には通用しませんが、日本国内ならばテキストファイルに変換した場合でも tree が表示できるのが強みです。この方法で tree を描く場合、1つ気をつけなければならないのは、スペース部分です。テキストファイルに変換した時や、ファイルを他人に送った場合に、branch の位置が大きくずれてしまわないように留意する必要があります。その意味で、タブを使うのはご法度と言えるでしょう。もっとも位置のズレが生じる可能性が低いのが全角スペースです。半角スペースは全角スペースにはさまれている程度ならば、大きなズレは生みませんが、半角スペースがたくさん連なっている場合には、Word の設定/バージョン等によって表示のされ方が変わることがあるようです。
結果的に私が一番よく使っているのは、Word の図形描写の機能を使って書く方法です。この方法では、もちろんテキストファイルにはなりませんし、図形特有のわずらわしさもありますが、相手が Word のユーザーである限り、ちゃんとtree が表示されるという安心感があります。ただ、いちいち線を引くと、なかなか2本の branch の頂点が一致してくれなかったり、左右がひどく非対称になってしまったりして、イライラさせられることがあります。そこで、私はよく使いそうな tree の「部品」だけをおさめた Word 文書を作ってあります。tree を描く必要があるときには、その文書の中から適当な部品を copy & paste でもってきて、その図形のサイズを適当に調整して使っています。ArborWin の方がいいのかもしれないなあと思いつつ、今のところは、この方法で特に不満は感じていません。
実はもう1つ、Office 2000 の頃には使えたのに、なぜか Office XP になったら使えなくなってしまった方法があります。その方法とは、Excel を使って tree を描く方法です。Excel では、マス目の対角線「/」「\」がボタン1つで簡単に描けます。マス目の大きさも自由に変更できるので、1つ1つのマス目に対角線もしくは「NP」等の文字を書いていくのです。2つのマス目を1つに統合するのも簡単なので「/」と「\」の頂点のところに「NP」と表示させるのもワンタッチです。tree ができたら、用いたマス目の部分を選択して、そのまま Word 文書に copy & paste すると、その tree が表としてコピーされるわけです。Office XP でも、この作業そのものは可能なのですが、なぜか、「/」「\」が copy されなくなってしまい、一番の旨味がなくなってしまいました。それほど手間をかけずにキチっとした tree が書けるので気に入りかけていたのですが、うまく使えなくなって残念です。
4.2. 「Symbol」フォントについて
本文の中で述べたように、全角文字が使えない場合、特殊文字はたいてい「Symbol」というフォントで表示されます。次にその対応表を掲げておきます。それぞれ、キーボードから入力する文字が左側で、それを「Symbol」というフォントに指定すると右側の文字が表示されることになっています。(普段、あまり使っていないギリシャ文字についてはちょっと自信のない部分もあります。ご自分でお確かめください。比較的、使う機会が多そうなものを太字にしてみました。)
キーボード | Symbol |
---|
a, A | α, Α |
---|
b, B | β, Β |
---|
c, C | χ, Χ |
d, H | δ, Δ |
---|
e, E | ε, Ε |
f, F | φ, Φ |
---|
g, G | γ, Γ |
---|
h, H | η, Η |
i, I | ι, Ι |
k, K | κ, Κ |
l, L | λ, Λ |
---|
m, M | μ, Μ |
n, N | ν, Ν |
o, O | ο, Ο |
p, P | π, Π |
q, Q | θ, Θ |
---|
r, R | ρ, Ρ |
s, S | σ, Σ |
t, T | τ, Τ |
u, U | υ, Υ |
w, W | ω, Ω |
x, X | ξ, Ξ |
y, Y | ψ, Ψ |
z, Z | ζ, Ζ |
^ | ⊥ |
\ | ∴ |
" | ∀ |
---|
$ | ∃ |
---|
' | э |
4.3. 本/論文の整理方法について
もう1つ、よく質問されるのが、本や論文の整理の方法についてです。これについては、自分の方法はほぼ決まっていますが、誰にでも勧められる方法かどうかは自信がありません。
(本や論文に限ったことではないかもしれませんが)結局のところ、(i) 自分がそれを持っているかどうかがわかること、(ii) 持っている場合、どこにあるかわかること、が最も重要だと思います。それを記憶できるのならば、それだけで十分で、特に整理方法は不要かもしれません。整理をするとなると、どんな方法でも、多少の手間がかかります。その手間に見合うだけの効果があるか、というのが常に問題になるわけです。ただ、本や論文はどんどん増えていくものですし、いざ、記憶できなくなった時点で整理を始めると、すでに大変な状態になっていることが多いことも事実です。早めに始めておこうと思われる方は、どうぞ参考にしてください。
私の場合、特に論文/コピー類は「記憶できない自信」があったので、かなり初期の頃から、次のような方法で整理しています。本の形になっていない論文のコピーやその他「覚えられそうにないけれど、存在を忘れたくないもの」には、すべて通し番号がつけられています。これは、著者や出典に一切関係なく、単純に手に入った順番でつけている番号です。そして、コンピュータ内のファイルに、著者/題名/出典とその通し番号を記録しておきます。論文/コピーは、ファイルキャビネットにその通し番号順に収められています。さがしたい論文がある場合には、コンピュータでその論文の著者か題名をキーワードとして検索し、見つかった論文の通し番号を見て、ファイルキャビネットから取り出す、というわけです。
この方法のいいところは、コピーそのものは分類も整理もする必要がなく、端から順番に並べていくだけなので、コピーが増えても、並べ替えや入れ替えの手間がいらないということです。著者名順に並べておくと、探しやすいですが、定期的に棚/段を入れ替える必要が出てくるので面倒だなあと感じます。
欠点は、逆に、コンピュータを使わないと、どの論文がどこに入っているかわからないということでしょう。また、著者/題名/出典のみ、とは言っても、コンピュータに入力するのは面倒なものです。未入力のコピーを他のものとごっちゃにしてしまっては、元も子もないので「未入力」という箱に入れて区別していますが、その中に入っている間は検索できないし、一度に多数のコピーが手に入ったときは、結構、面倒です。行方不明になるよりはまし、と自分に言い聞かせてはいますが、どうしても作業が遅れがちになってしまいます。
いったん入力さえできてしまえば、あとはコンピュータ上でいろいろな処理ができるので、それは便利です。読んだものについては内容に関するキーワードも付しておけば、あとで、キーワードを検索することもできますし、著者順に並べかえた一覧を作ることもできます。
私がこの整理に用いているソフトウェアは、自分の思い入れはあるものの、他人にはおそらくかなり使いにくいものだと思いますので、ここでは紹介しませんが、上記の目的を果たすためだけれならば、いろいろなソフトウェアが利用可能だろうと思います。
また、みなさんの整理方法なども教えていただけると嬉しいです。
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