2012 前期(学部生向け)言語学・応用言語学演習 VII

ここに連絡事項を掲載することがありますので、受講者はときどきチェックするようにしてください。
2012.04.14.
 前回の授業でうっかり、予習課題の説明とそのメールの宛て先を言うのを忘れてしまいました。次の授業では、忘れずに説明したいと思いますが、このホームページを見てくれた人は、書かれている「予習課題」を、ueyama2012class[@]gges.xyz (←アットマーク前後のカッコは取り除いて)宛てに送ってください。

講義題目

 論文の読み方・書き方

授業目的

 この授業では、入門的な講義とは少し違った切り口から、言語学の研究というものを体験してほしいと思っている。卒論などでは、単に、書かれていることを理解するのではなく、自分で考察を進め分析をしていく能力が求められる。ただ、いきなり「自分なりの分析をまとめて主張する」と言われても、どこから手をつけていいか、迷ってしまうに違いない。この授業では、最近の学術雑誌に載った論文をいくつか取り上げ、研究を進めていく基礎体力をつけることを目標としている。

授業の進め方

  • 授業の前に、各自、予習課題に取り組んでもらい、その週の月曜日までにメールで提出してもらう。(詳しいことは、下の説明を参照すること。)
  • 授業の開始時に、主に前回までの授業内容に関する簡単な復習テストを行う。これは、出欠確認を兼ねており、細かい得点化はしないが、よっぽど出来の悪いものは区別したいと思っている。
  • 授業は、最初の3回は講義が中心であるが、第5回以降は、学生による発表が中心となる。
  • 授業内容の一覧は、下の表に示している通り。
  • 原則的に全員、グループでの発表に取り組んでもらう。院生さんが準備を手伝ってくれるので、どの時期までにどのように準備を進めるか、院生さんとよく連絡をとって進めること。

教科書について

 最初の3回の授業では、『論文を書くためのWord利用法』(上山あゆみ)くろしお出版 を用いる。定価は、税込みで 1680円 で、生協にも置いてくれてある。授業で使うのは、初めの3回だけであるが、卒論を書く際にも利用できると思うので、持っていて損はないと考えている。
 第5回以降の授業で使う論文のコピーは、原則的に1週間前に配布する。授業を欠席した人は、次の週の論文のコピーを言語学研究室に取りにくること。

授業内容

(更新日:2012.05.16)
第1回 2012.04.12.
論文 授業の目的と方法の説明
予習課題 なし
第2回 2012.04.19.
論文 論文を書くための Word 利用法(1〜5章)
予習課題 ling01 : メールの件名とファイル名を指定された形式にして、Word 文書を添付すること(文書の中身は、空でも何でもよい。)
第3回 2012.04.26.
論文 論文を書くための Word 利用法(5章)
予習課題 ling02 : 「Usual.dot」をテンプレートとした文書を添付すること(文書の中身は自分の所属と氏名だけでよい)
第4回 2012.05.10.
論文 論文を書くための Word 利用法(5〜8章)
予習課題 ling03 : (i) 「スタイル」の機能が用いてあり、(ii) 例文の自動連番と例文番号参照を含む文書を作成して添付すること(中身は、無意味なものでもよい)
第5回 2012.05.17.
論文 菊池律之 (2008) 「変化動詞文と共起するニ・トに関する一考察 ---トの意味・機能の分析を中心に---」『日本語文法』8巻2号, pp.88-103
予習課題 ling04 : 「... 〜と ... 〜に ... 変化動詞」の形式の例文を2つ作りなさい。(論文にないものに限る。)
第6回 2012.05.24.
論文 宮腰 幸一 (2007) 「結果句の定義と分類について ―意味・機能的アプローチ― 」『日本語文法』7巻2号, pp.101-119.
予習課題 ling05 : (a) 被動作主志向、(b) (副)産物志向、(c) 移動物志向、(d) 感情喚起物志向 の結果句を含む例文を1つずつ作りなさい。(論文に含まれていないものに限る。)
第7回 2012.05.31.
論文 今田水穂 (2011) 「名詞述語文の焦点の質的特性---言語による発話構造の有標化---」, 『日本語文法』11巻1号, pp.122-138.
予習課題 ling06 : (i) 措定文と指定文の違いとは、(ii) 指定文と同一性文の違いとは、何か説明しなさい。(必ずしも、この論文中の用語を使わなくてもよい。)
第8回 2012.06.07.
論文 小竹直子・酒井弘 (2011) 「心理動詞による属性文の意味的成立条件」, 『日本語文法』11巻1号, pp.20-36.
予習課題 ling07 : 心理動詞による属性文の例文を3つ作りなさい。(ただし論文にないものに限る。)
第9回 2012.06.14.
論文 高見健一 (2010) "「何を文句を言ってるの」構文の適格性条件", 『日本語文法』10巻1号, pp.3-19.
予習課題 ling08 : 高見(2010)の主張に従い、「何を素晴らしいことを言っているの」がなぜ容認性が低いのかを説明し、どういう文脈を加えれば容認性が高くなるのか述べなさい。
第10回 2012.06.21.
論文 山寺由起 (2010) "Wh付加詞構文---「何がこの本が面白いの」---", 『日本語文法』10巻2号, pp.160-176.
予習課題 ling09 : 容認可能な「何がこの本が面白いの」構文の例文を作り、それが容認不可能になるような文脈を書きなさい。
第11回 2012.06.28.
論文 清水由貴子 (2010) "「AテモBテモ」文の分析", 『日本語文法』10巻1号, pp.105-121.
予習課題 ling10 : 「AテモBテモ」文で、(i) 順接・順接、(ii) 順接・逆接、(iii) 逆接・順接、(iv) 逆接・逆接、の例文をそれぞれ書きなさい。
第12回 2012.07.05.
論文 中田一志 (2009) 「発話行為論から見た終助詞ヨとネ」, 『日本語文法』9巻2号, pp.19-35.
予習課題 ling11 : 中田 (2009) の主張に従って、命令の適切性条件を書きなさい。
第13回 2012.07.12.
論文 江口正 (2000) "「ほか」の2用法について", 愛知県立大学外国語学部紀要(言語・文学編)32号, pp.291-310.
予習課題 ling12 : 助詞のつかないホカ句の除外解釈の例文と累加解釈の例文を書きなさい。
第14回 2012.07.19.
論文 江口正 (2002) 「遊離数量詞の関係節化」, 福岡大学人文論叢, 33-4, pp.2147-2167.
予習課題 ling13 : 遊離数量詞を含む例文(論文に載っていないもの)を3つ書いて、それぞれ、「遊離数量詞」と「ホスト」はどれであるか示しなさい。
第15回 2012.07.26.
論文 まとめ
予習課題 ling14 : 授業評価 。いろいろアンケート続きで大変だけれど、よろしくお願いします。

単位の認定と評点について

  • 学期末試験は課さない。
  • 単位は、各種課題と授業の参加状況に基づいて判定する。目安としては、予習課題をすべてと、グループ発表、そして出席があれば単位はあると思ってよい。出席等が足りない人は、レポート課題を提出してもらう。
  • 課題の提出状況とその時点での暫定的な予想評点を表にして公開するので、気になる人は、授業終了時に参照して対策を相談してほしい。

予習課題について

予習課題の設問は、前の週までにこのページにあげておく。予習課題は、短い答えのある具体的な設問で、原則的に、当該の論文を一読すれば答えられる簡単な設問にする予定である。つまり、この予習課題の目的は、授業の前に、少なくとも一度、その週の論文に目を通してもらうことにある。
<締め切り>
予習課題は、当該授業の週の月曜日 17:00 までに必着とする。
<提出方法>
  • 予習課題の提出は e-mail で。宛て先は、授業中に指示する。
  • メールのSubject(件名):「ling##-姓名」
    たとえば、田中大輝くんが提出する場合の件名は、「ling02-田中大輝
  • <書き方>
  • メール本文の冒頭に、専攻・学年・氏名を書くこと。
  • 出典がある場合には、その出典を必ず明記すること。
  • 課題のあとに、授業の感想・質問・自己紹介・メッセージなども自由に記載してもらってかまわない。
  • <評価>
    予習課題は、(i) (締め切りまでに)提出されたかどうかと (ii) 内容の出来(A:特別に良い/B:普通にちゃんと出来ている/C:提出はされているが内容がともなっていない) の両方を評価する。

    発表について

     初回の授業のときに、発表の担当者を決める。希望でグループを組んだ上で、担当したい論文を "早い者勝ち" で登録していく。
    <発表で目指すこと>
  • その論文で、どのような現象が扱われているか、それについて、どのようなことが述べられているかを、なるべくわかりやすくまとめてハンドアウトにする。
  • 例文や結論がまとめられた部分は、原則的に省略せずに引用する。正確に写し、元の論文の何ページの何番の例文かという出典を必ず付けておくようにする。
  • よくわからない部分については、そのまま「疑問点」としてハンドアウトに載せればよい。
  • その論文の主張について自分の意見がある場合には、ハンドアウトに載せてかまわない。自分の意見は、なければなくてもかまわない。
  • <準備の方法>
  • ハンドアウトは、授業の第1〜3回目に説明する方法にしたがって、Word で作成すること。
  • 発表の1週間前までに、ハンドアウトの第1稿が出来上がっていなければ間に合わないと思っておいてほしい。
  • SA の時間などを活用して、積極的に院生と相談してハンドアウトを完成させること。
  • <ハンドアウト最終稿の提出の方法>
  • ハンドアウトの最終稿ができたら、上山および TA の院生に添付ファイルで送ること。印刷をしてもらう必要があるので、いつまでに送ったら間に合うか、事前にちゃんと連絡をとっておくこと。
  • ファイルを添付したメールに、誰がどこを(もしくは、どういう作業を)担当したかを書いておくこと。
  • レポート課題について

    <提出方法>
  • レポート課題の提出は、予習課題とは別の e-mail で(=1つのメールに、予習課題とレポート課題を混在させないこと)。提出先は予習課題と同じ。
  • メールのSubject(件名):「report-姓名」
    たとえば、田中大輝くんがレポート課題を提出する場合の件名は「report-田中大輝
  • <書き方>
  • メール本文の冒頭に、専攻・学年・氏名を書くこと。
  • 出典がある場合には、その出典を必ず明記すること。
  • <添付ファイル>
  • レポート課題は、添付ファイルで提出すること。
  • 添付ファイルのファイル名もメールの件名と同様に、「report-姓名」とする。
  • <レポートの修正>
  • レポートの内容をよりよいものにするために、内容の改訂を求めることがある。コメントはメール本文に書く場合もあれば、添付ファイルに書き込む場合もある。上山のコメントの入ったファイルは、オリジナルと区別するために、ファイル名の最後に「-au」と記されている。たとえば、「report-田中大輝」というファイルにコメントが加えられると、「report-田中大輝-au」というファイル名で返送される。なお、1回目の上山からの返事を引用した形のメールにすること。
  • やり直したレポートを提出する場合には、ファイル名に提出回数を含めること。たとえば、初めて提出した場合のファイル名が「report-田中大輝」ならば、2回目に提出する時のファイル名は「report-田中大輝-2」となる。
    <締め切り>
    レポート課題の第1稿の締め切りは7月25日最終版の提出の締め切りは8月31日とする。
    <評価>
    レポート課題は、最終版の出来によってA+ 〜 C の評価をする。