1999.11.30.
いろいろ試行錯誤の混じった1年でしたが、熱心に聴いてもらっていたおかげで、なんとか1年の授業を終えることができました。どうもありがとう。このホームページも誰も見ていないかも、と思っていたところ、11/15分の update を忘れていたのを何人にも指摘され、「しまったー」と思いつつ、嬉しくもありました。そのことも含めて、「この授業の評価」のコメントをいろいろいただいたので、その中から少し返答しておきたいものについて、ここに書いておこうと思います。(これ以外のコメントについては、{ありがたく/神妙に} 受け取っておきます。)
「ハンドアウトは例文だけで、授業中にいろいろ説明・補足があるので、欠席したところを埋め合わせようと思ってもできない。」
そうね。教科書がない、というのが根本的な問題でしょう。残念ながら、この問題は来年度にも持ち越されてしまいますね。そのうち、日本語の分析にもとづいた生成文法の入門書を出版できればと思っているんだけれど、現時点ではまだ「地の文」を公表できる段階ではないので、例文しかホームページには載せていないのです。
とにかく、この授業の目標は、自分で生成文法の考え方を体験してみる、ということなので、「授業に参加してもらって、その場で一緒に考えていく」というのを基本に考えています。どうしても都合で欠席した場合には、誰かにノートも借りるとか、そういう自衛手段をとってもらわざるをえないですね。
「<基礎演習>なのだから、もう少し一般的な内容でも良かったのでは。」
この点に関しては、私の意見は、学年初めのシラバスで述べた通りです。この授業で扱ったトピックがある種の現象に限られているのは事実ですが、それはすべて、生成文法の考え方を体験してもらうための例示として選んだものです。結局、「何を見ようとしているのか」「どのようにアプローチしようとしているのか」という部分の理解なしにいろいろな情報に触れても、あまり意味がないと考えているので、その意味で、このような路線の内容が本当の意味での「基礎」のはずだと考えているのです。「一般的な内容」というものは(意味のある形では)存在しないと思っていると言いかえてもいいでしょう。ですから、来年度も、基本ラインとしては今年度と同じようにしていこうと思っています。ただ、今年度の試行錯誤部分を切り詰めた分で、少し「一般的」に聞こえる話も混ぜて、どうしてそういう話をメインに持ってこないのか、ということも納得してもらえるようにしたいと思っています。
「<基礎演習>というよりは、<講義>のような授業だったと思う。」
確かに実質的には「講義」もしくは「研究」に近い内容だったかもしれませんね。理論言語学の統語論の授業が他に開講されていないようなので、やむをえない面もありますね。これについても、基本的には来年度も同じでしょう。
「特に後期は小テストや宿題が減ってしまったので、前期と同じぐらい出してほしかった。」
後期は、どうしても、小テストや宿題が出題しにくいトピックでしたね。でも、来年度はできるだけ工夫してみたいと思っています。
このほかにも、いろいろコメントをいただきましたが、「なるほど」「気をつけます」「ありがと」というような返答ばかりになってしまうので、ここでは割愛します。どうも、ご協力ありがとうございました。
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