2003 熊本県立大学・集中講義(日本語教育特殊講義 I-1)

■ 授業目的 [講義題目:生成文法と日本語:文の構造]

 文は単語から成っているものであるが、単なる単語の集合ではない。外国語の場合など、単語の意味がすべてわかっていても文の意味がわからないことがあるのを思い出してほしい。それぞれの単語をどのように組み合わせれば文の意味になるかを決定しているのが文の構造であり、文の構造がわからなければ文の意味もわからないのである。構造というものは、言語の分析にとって大変重要なものであるが、目に見えない分、抽象的でとらえにくい。この授業では、理論的な解説と具体的な日本語の分析を通して、構造という概念を体得してもらうことを目指している。

■ 授業の進め方について
  • 授業は、基本的には講義形式であるが、なるべく練習問題のようなものも混ぜていきたい。「正解」を出すことにとらわれず、いろいろな可能性について自分で考えてみる機会にしてほしい。
  • 内容の区切りごとに、「わかったこと」と「わからなかったこと」を書いて提出してもらうので、そのつもりで授業を聞いてほしい。
  • 講義中、いつでも質問をしてもらってかまわない。
  • また、その日の講義終了後にメールで質問を送ってもらってもかまわない。宛て先は ayumi[@]gges.xyz (← @ の前後の [ ] を取り除いたものがメールアドレス)。
■ 単位の認定について
  • 講義後のテストやレポートは行わない。授業への参加状況と、授業中の練習問題や提出物に基づいて判定する。

授業内容

(更新日:2009.06.26)
第1回 2003.9.16.
テーマ 生成文法における「文法」とは
キーワード
  • 私たちはどのようにして言語の知識を獲得したのか
  • メカニズムとしての「文法」
  • 単語のもたらす情報
  • 第2回 2003.9.17.
    テーマ 日本語の句構造
    キーワード
  • 埋め込み文
  • 樹形図
  • 修飾関係と構造
  • 第3回 2003.9.18.
    テーマ c-command 関係
    キーワード
  • 同一指示解釈
  • 連動読み
  • c-command
  • 日本語の文の構造
  • 第4回 2003.9.19.
    テーマ 文の生成の仕組み
    キーワード
  • 句構造規則
  • 句構造規則の限界
  • 句構造規則からの脱却
  • トップダウン方式からボトムアップ方式へ