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『論文を書くためのWord利用法』 この本を読んでくださる皆さんへこの本がどのような目的を持っている人のために書かれたかは、次の「序」のところに書いてあるとおりで、目標は、「再利用や清書のための手間を最小限にし、Wordを思考のための道具としても使えるようにするための方法を紹介する」ということです。とは言っても、全般に渡って、単に自分のWordの使い方を紹介しているだけのようなものでもあります。もともとは、出版するまでの価値はないように思い、自分のwebページで、背景となる考え方だけを紹介していました。ただ、特に5.4節でご紹介するマクロは、いろいろな方々が喜んでくださり、次第に、もっと具体的な説明がほしいというリクエストをいただくようになりました。また、テンプレートやスタイルという概念については、具体的なソフトの使い方というだけでなく、考え方として理解をしておくと、何かと効率がよくなるのではないかと思い、出版を決意しました。 ただ、諸般の事情で、出版しようと思い立って原稿が準備できてから、実際にここまでこぎつけるのに3年の月日が経ってしまい、その間に、Office 2007やWindows Vistaが出てしまいました。この本でご紹介しているマクロは、もともとWindows 1995からWindows 1998のころに作ったものです。そのあとWindowsやOfficeのバージョンがいろいろ変わっても、このマクロの働きは特に影響を受けなかったので、安心していたのですが、Office 2007とWindows Vistaの変化は、今までの中では非常に大きなものだと言わざるをえません。ここで紹介しているマクロが一応、使用可能であることは確認済みですが、Windows Vistaの場合には、3章で説明する作業が少し面倒になります。また、Office 2007では、ツールボタンという概念そのものが廃止されてしまったので、以下でご紹介しているいろいろな工夫が封じられてしまっている状況です。(そのため、自分の周りの人には、まだOffice 2003を使い続けるように勧めています。) いったんは、Office 2007やWindows Vistaに対する対処も、この本の中に組み込もうと思ったのですが、どうも、まだ私が知らないケースも出てきそうなので、不正確なことを述べるよりは、Office 2007とWindows Vistaについては、本の中ではほとんど言及しないことにしました。コンピュータやソフトの具体的な事情は、人によっても様々で、なかなか統一的に述べるのが難しいからです。そのかわり、何かわかり次第、この本用のwebページで、対処方法等をご紹介していこうと思っています。この本のためのwebページのURLは以下のとおりです。 このような事情で、以下の説明は、必ずしも最新のことが述べられていませんが、その面はwebページで補っていく所存ですので、ご了解いただけると幸いです。Microsoft Officeは、どんどん、「自分好みの使い方」がしにくくなる方向に流れており、「(Microsoftが想定する)標準的なユーザー」以外は、いろいろ不便を強いられている状況です。一人でも多くのユーザーが、「自分流に調整する」ことの良さに気がつくことによって、この流れを少しでも変えられればと願ってやみません。 2008年12月 上山あゆみ |