『生成文法の考え方』 目次

プロローグ

0.1 生成文法の変遷
0.2 この本の着眼点と構成

第1章 生成文法における「文法」とは

1.1 ことばに関する直観
1.2 人間の言語習得
1.2.1 習得のスピードが速いということ
1.2.2 基になるデータが不備であっても習得できるということ
1.2.3 一般に誰にでも習得可能であるということ
1.2.4 人間という種に特徴的であるということ
1.2.5 人種や民族の壁は存在しないということ
1.2.6 思春期までに習得する必要があるということ
1.2.7 まとめ
1.3 私たちはどのようにして言語の知識を獲得したのか
1.3.1 言語生得説
1.3.2 仮説1:「言語の習得」=「すべての単語の暗記」
1.3.3 仮説2:「言語の習得」=「すべての文の暗記」
1.3.4 「言語の習得」=「文の生成の仕組みと単語の習得」
1.4 メカニズムとしての文法
1.4.1 初期の生成文法の概観
1.4.2 単語のもたらす情報
1.4.3 θ役割
1.4.4 格
1.5 人間の成長過程としての言語習得

第2章 「文」の生成の仕組み

2.1 「文」とは
2.2 文のパターン:トップダウン方式
2.2.1 Aux
2.2.2 接辞移動
2.2.3 INFL
2.2.4 COMP
2.2.5 まとめ
2.3 句構造規則の限界
2.3.1 主要部の特質と句構造
2.3.2 θ規準と投射原理
2.3.3 格フィルター
2.3.4 句構造規則の「一般型」の設定
2.3.5 機能範疇と文の構造
2.4 句構造規則からの脱却:ボトムアップ方式
2.4.1 先駆け:Stowell (1981)
2.4.2 併合とnumeration
2.4.3 ボトムアップ方式がもたらした新たな視点
2.5 まとめ

第3章 音と意味の分離:PF表示とLF表示

3.1 PF表示とLF表示
3.1.1 「音」と「意味」
3.1.2 θ解釈
3.1.3 修飾関係
3.1.4 演算子の作用域
3.1.5 「音」に対する構造の影響
3.2 名詞に関する音と意味の分離
3.2.1 音を持たない言語表現
3.2.2 意味を持たない言語表現
3.3 文の派生における音と意味の分離
3.3.1 移動-音声と意味解釈の「ずれ」
3.3.2 音に影響を与えない統語派生
3.3.3 論理関係に影響を与えない移動
3.3.4 移動の位置づけと生成文法のモデルの変遷
3.4 深層構造=「意味」の時代
3.4.1 標準理論
3.4.2 生成意味論
3.5 表層構造も「意味」に関与する
3.5.1 深層構造=「意味」と考える仮説の問題点
3.5.2 痕跡理論
3.6 音に関する表示と意味に関する表示の分離
3.6.1 GB理論
3.6.2 LFとPF
3.6.3 中国語のwh構文
3.7 音と意味の完全分離
3.7.1 ミニマリスト・プログラム
3.7.2 最小出力条件
3.7.3 経済性の原理
3.7.4 理想の文法像
3.8 縦の関係と横の関係

第4章 「主語」とは

4.1 「文法上の主語」と「意味上の主語」
4.2 句構造から見た主語
4.2.1 標準理論における主語の概念
4.2.2 文の「主語」と名詞句の「主語」
4.3 「意味上の主語」と「文法上の主語」の新たな位置づけ
4.3.1 θ役割と抽象格
4.3.2 θ役割から見た主語
4.3.3 抽象格から見た主語
4.3.4 A 移動
4.3.5 格フィルター
4.3.6 GB 理論の問題点
4.4 基底生成された主語と派生された主語
4.4.1 実質的主語と形式的主語
4.4.2 内主語仮説が可能にしたこと
4.4.3 統語派生と解釈と語彙入力の同時進行:Phaseの考え方
4.5 まとめ:生成文法における主語の概念の変遷
4.6 なぜ移動するのか
4.6.1 移動の仕組み:解釈不可能な素性
4.6.2 経済性のジレンマと EPP 素性の正体
4.6.3 なぜ形式素性に着目するのか
4.6.4 文法はなぜ不完全性を含むのかという問いかけ

第5章 生成文法研究が目指すもの

5.1 生成文法の説明の対象
5.1.1 文法の位置づけ
5.1.2 文法性
5.1.3 文法というメカニズムの存在の証明を目指して
5.2 文法性判断に現れる、文法外のさまざまな要因
5.2.1 「話し手のモデル」と「聞き手のモデル」
5.2.2 文法性と容認可能性
5.2.3 文の情報処理
5.2.4 文の統語解析
5.2.5 不自然な状況設定
5.2.6 まとめ
5.3 生成文法の研究方法
5.3.1 実験デザイン
5.3.2 実験結果の考察
5.3.3 仮説の構築と検証
5.4 生成文法に対するよくある誤解
5.4.1 「文法を知らなくても言葉は話せるから、文法は要らない」のか?
5.4.2 「不自然な文ばかりを対象にしていては意味がない」のか?
5.4.3 「(たくさんの)外国語を研究しなければ普遍文法は語れない」のか?
5.4.4 エピローグ